文章の書き出しで使うための月ごとの時候の挨拶とは?

日本には四季があり、季節の移り変わりを感じることができます。
その折々の自然の様子を表現し、季節感を伝える言葉が「時候の挨拶」です。
特にビジネスシーンでは、手紙やメールの冒頭に用いられ、季節に応じた適切な挨拶を入れることで、相手への気遣いや礼儀を表すことができます。
時候の挨拶には、漢語調と口語調の表現があります。
①漢語調・口語調とは?
○漢語調
「新春の候」や「晩秋の候」など、格式があり、ビジネス文書や正式な挨拶状に適しています。
漢語調は中国由来の格式高い言葉を用い、文語的で硬い印象を与えます。
主に改まった手紙や公的な場面で使われることが多く、ビジネスシーンでは相手への敬意を示すために用いられます。
○口語調
「年が明け、まだ来ぬ春が待ち遠しく感じられます。」など、より柔らかく親しみやすい表現です。
日常的な会話に近い表現が特徴で、カジュアルな雰囲気を持ちます。
親しい間柄での手紙や、堅苦しくなりすぎたくないビジネスシーンでも活用できます。
漢語調・口語調の文例
月 | 漢語調の文例 | 口語調の文例 |
1月 | 新春の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。 | 新しい年を迎え、厳しい寒さが続きますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。 |
2月 | 余寒の候、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。 | 暦の上では春とはいえ、まだまだ寒さが厳しい日々が続いております。 |
3月 | 早春の候、貴社ますますご隆盛のことと存じます。 | 日差しに春の訪れを感じるようになりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 |
4月 | 陽春の候、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。 | 桜が美しく咲き誇る季節となりました。新生活が始まるこの時期、健やかにお過ごしください。 |
5月 | 新緑の候、貴社益々のご発展をお祈り申し上げます。 | 新緑がまぶしい季節となりました。爽やかな風とともにお元気でお過ごしのことと思います。 |
6月 | 長雨の候、皆様のご健康をお祈り申し上げます。 | 梅雨入りし、しっとりとした雨が続く今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。 |
7月 | 盛夏の候、貴社のさらなるご発展をお祈り申し上げます。 | 暑さが厳しくなり、夏本番を迎えました。くれぐれもご自愛ください。 |
8月 | 残暑の候、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。 | 立秋を迎えたとはいえ、まだまだ暑さの厳しい日が続きますね。 |
9月 | 初秋の候、貴社のご繁栄を心よりお祈り申し上げます。 | 朝晩の風に秋の訪れを感じるようになりましたが、お元気でお過ごしでしょうか。 |
10月 | 秋冷の候、皆様のご健康をお祈り申し上げます。 | 秋が深まり、木々の葉が色づき始める頃となりました。ご健勝をお祈り申し上げます。 |
11月 | 霜寒の候、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。 | 冷え込みが増し、冬の足音が聞こえてくる季節となりました。暖かくしてお過ごしください。 |
12月 | 歳晩の候、貴社のご隆盛をお祈り申し上げます。 | 師走を迎え、何かと忙しい時期となりましたが、お身体に気をつけてお過ごしください。 |
②手紙などで使う時候の挨拶の例
「〜の候」など手紙で最初に書く挨拶は(漢語調)では、受け取る相手の時期によって決まります。
例えば、「新春の候」「初春の候」は1月末日まで使用することが可能ですが、言葉から受ける印象を考慮し、松の内(元旦~7日、地方によっては15日)にとどめるのがよいでしょう。以下は、1月〜12月まで用いる言葉の参考としてください。
1月
上旬 新春の候 初春の候
中旬 寒風の候 寒中の候
下旬 厳寒の候 大寒の候
2月
上旬 晩冬の候 立春の候
中旬 余寒の候 梅花の候
下旬 春寒の候 向春の候
3月
上旬 早春の候 浅香の候
中旬 仲春の候 春色の候
下旬 春分の候 春暖の候
4月
上旬 陽春の候 桜花の候
中旬 陽春の候 春風の候
下旬 春陽の候 晩春の候
5月
上旬 新緑の候 立夏の候
中旬 新緑の候 薫風の候
下旬 薫風の候 青葉の候
6月
上旬 初夏の候 青葉の候
中旬 深緑の候 向暑の候
下旬 梅雨の候 向暑の候
7月
上旬 盛夏の候 小暑の候
中旬 盛夏の候 暑中の候
下旬 盛夏の候 大暑の候
8月
上旬 立秋の候 晩夏の候
中旬 残暑の候 晩夏の候
下旬 残暑の候 秋暑の候
9月
上旬 初秋の候 新涼の候
中旬 爽秋の候 涼風の候
下旬 秋涼の候 秋色の候
10月
上旬 秋色の候 秋晴の候
中旬 秋麗の候 紅葉の候
下旬 秋冷の候 紅葉の候
11月
上旬 晩秋の候 紅葉の候
中旬 落葉の候 向寒の候
下旬 霜秋の候 向寒の候
12月
上旬 初冬の候 師走の候
中旬 師走の候 寒冷の候
下旬 寒冷の候 歳末の候
ちなみに時候の挨拶には、季語(きご)が含まれることが多くあります。
季語とは、俳句や和歌などで季節を表す言葉のことで、漢語調・口語調どちらにも使えます。
時候の挨拶にも季語を取り入れることで、より豊かな表現が可能になります。季語は自然の変化や伝統的な行事などを反映し、日本の四季の美しさを表現するのに適しています。
以下に、月ごとの季語の例を表にまとめました。
月 | 季語の例 |
1月 | 初春、寒梅、厳冬、新年、七草 |
2月 | 余、立春、春一番、 梅の花、雪解け |
3月 | 早春、桃の節句、 春雨、 菜の花 桜前線 |
4月 | 花見、桜吹雪、春嵐、 若葉、 燕(つばめ) |
5月 | 新緑、藤の花、風薫る、端午の節句、立夏 |
6月 | 梅雨、紫陽花、夏至、 蛍、 青葉 |
7月 | 盛夏、土用の丑、入道雲、七夕、向日葵 |
8月 | 立秋、残暑、盆踊り、 涼風、夕立 |
9月 | 初秋、秋桜、月見、秋分、萩の花 |
10月 | 秋冷、紅葉、金木犀、霧、収穫祭 |
11月 | 霜月、木枯らし、冬支度、落ち葉、冬の訪れ |
12月 | 師走、初雪、クリスマス、冬至、寒波 |
時候の挨拶を活用することで、季節の移り変わりを感じながら、相手への気遣いを伝えることができます。また、季語を取り入れることで、より豊かで味わい深い表現が可能になります。
終わりに
いかがでしたか?
ご自身がその時感じている季節感を文章にするのもいいですね。
当社では挨拶状など、色々なご要望に対応いたしますので、営業担当までお気軽にご相談ください。