人名のローマ字表記の迷いを解決!〜パスポートはヘボン式です〜


先日、ニュースでローマ字のヘボン式入力について以下のような話がありました。
文化審議会は令和7年8月20日、ローマ字表記を従来の「訓令式」から英語発音に基づく「ヘボン式」を基本とするよう文科相に答申した。年内にも内閣告示され、1954年以来約70年ぶりの改定となる見込みで、小学校国語も2026年度以降ヘボン式に移行する。

日本人の名前をローマ字で表記する際、「ヘボン式」と「訓令式」があります。しかし、海外で通じやすく、国際的に標準とされているのはヘボン式です。誤解やトラブルを避けるためにも統一した表記が望まれます。本記事では日本人の名前を英語表記するときの最新ルールを解説します
ヘボン式ローマ字入力
〜世界標準化された国際的な表記のためのローマ字入力〜
私たちが日常生活で最も目にする機会が多いのが「ヘボン式」です。
これは、アメリカ人宣教師のジェームス・カーティス・ヘボンさんが考案した方式で、もともとは日本語を母語としない人たちが、日本語の地名や人名を正しく読めるようにと作られました。
だから、日本語の音をそのままアルファベットに当てはめるのではなく、英語の発音ルールに近づけて表記するのが特徴です。
注意すべきヘボン式ローマ字入力
注意すべきヘボン式ローマ字入力について解説します。
〈「い」を伸ばす場合、「I」は省略しません〉
⚫︎飯田(いいだ)→IIDA
⚫︎貴一(きいち)→KIICHI
〈「う」を伸ばす場合、末尾の「U」は省略する〉
⚫︎伊藤(いとう)→ITO
⚫︎近藤(こんどう)→KONDO
〈文の途中の「う」を伸ばす場合は、「U」をひとつにする〉
⚫︎ゆうか→YUKA
⚫︎しゅうじ→SHUJI
〈「お」を伸ばした音、「おう」「おお」は「O」〉
⚫︎大橋(おおはし)→OHASHI
⚫︎こうへい→KOHEI
〈注意すべきヘボン式ローマ字表記の表〉

※上記表の()で示したつづりは、別の仮名でも同じ発音をするものです。
特に「し、ち、つ」の音は、日本語のローマ字表記の大きなポイントです。「ti」や「si」と書いてしまうと、英語圏の人には「ティ」や「スィ」と読まれてしまう可能性があるため、「chi」や「shi」と表記することで、より日本語の「チ」や「シ」に近い発音を促しています。
また、長音(伸ばす音)は基本的に表記しません。
例えば、「おおの」さんは「Ono」となります。パスポートやクレジットカード、道路標識など、国際的な場で使われるものには、ほぼすべてこのヘボン式が採用されています。
〈パスポートの表記例〉

〈道路標識の表記例〉


これは、世界中の人が共通のルールで、スムーズに読み書きできるようにするためです。
※2020年1月1日から、パスポートをはじめとする公文書で日本人の名前をローマ字表記する場合、「姓→名」の順にすることを日本政府が決定しました。
名刺の場合
下記の表記としてはどれも間違いではありません。ただし、使用用途によって、表記の仕方に工夫が必要かもしれません。
〈「名ー姓」か「姓ー名」の表記順〉
ローマ字表記順は「名ー姓」が主流ですが、政府は2019年以降、日本人の姓名をローマ字で表記する際に「姓ー名」の順で表記する方針を示していることから、今後「姓ー名」が主流に変わっていくかもしれません。


〈大文字と小文字のルールについて〉
ローマ字で表す固有名詞は、その頭文字を大文字にするのがルールです。
また、姓を判別することが重要視され、そのことから姓を大文字で描く習慣もあります。さらに姓のうしろにカンマを入れて姓であることを表す場合もあります。



まとめ

大切なのは「誰に、何を伝えたいか」です。
また、「その印刷物は誰のためのもので、何を伝えたいのか?」という視点が重要です。
もし、今お使いの印刷物で「あれ?」と思うことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。



