文字サイズの単位? 「Q」と「ポイント」について
突然ですが・・・
「キュー数上げて」、「ハを詰めて」と言われたら、多くの方が首をかしげるかもしれません。「Q(級)」や「H(歯)」は、まだ今のようにパソコンやカメラが気軽に手に入らない時代から、「本」を印刷するためのもとになる「版下」を作成する作業で使われている文字の単位です。今回は、このQとH、そしてPt(ポイント)についてご紹介します。
Q(級)
Qは「キュー」と読みます。日本独自の文字サイズの単位で、1Qは0.25mm。1mmの1/4のサイズということから、Quarterの頭文字からつけられた名称です。「級」とも書きますが、これは当て字になります。
H(歯)
Hの読み方は「ハ」。こちらは行や列の文字間隔に使われる単位です。その由来は、写植機(昔印刷業界で使われていた、光とレンズを使って拡大縮小をして文字を作るタイプライターのようなもの)の時代に文字の送りを歯車で行なっていたことから「歯」が使用されるようになりました。そこからQに合わせてアルファベットの「H」が使われるようになったのです。なお1Hは、Qと同じく0.25mmでメートル法に基づいています。
Pt(ポイント)
「ポイント」は、もっとも広く使われている単位です。
身近なMicrosoft OfficeやGoogleドキュメントなどにもポイントが使われているので、聞いたことがある方もいるかもしれません。海外には様々なポイントの規格がありますが、いま私たちが一般的に利用しているポイントはDTPポイントとも呼ばれるもので、サイズは1pt=1/72inch。約0.3514mmです。印刷のアプリケーションは欧米で誕生したため、その基本単位はポイントになります。国内でもDTPが普及するに従って、ポイントが定着していきました。
「Q」の特徴
Qとポイント、それぞれの文字サイズの単位には特徴があります。まずQですが、4Qで1mm、8Qで2mmと正確なミリ換算がしやすいため、組版設計に便利です。たとえば「行長÷文字数×4」で文字のサイズを、「文字サイズ×文字数÷4」で行長の計算ができます。こうした理由から、雑誌や書籍などの編集分野では使いやすい文字単位なのです。
「ポイント」の特徴
一方、ポイントは1ポイントあたりの差が大きいため、文字のスケールがわかりやすい、デザインのメリハリがつけやすい点があげられます。そのため、ポスターや広告、チラシなど、見た目のデザインを重視するものに向いていると言えるでしょう。ちなみに、Webデザインで使用するのはポイントのみ。Webデザイナーに「Q数を変えたい」と言っても、理解してもらえないかもしれません。また、Qはメートル、ポイントはインチに基づく単位なので、正確な換算はできません。それぞれ近い数値の文字サイズはありますが、微妙に誤差が発生するため注意が必要となります。
まとめ
普段当たり前のように目にする文字にも、実は大きさの単位があることが分かっていただけたでしょうか。あまり使う機会はないかも知れませんが、文字を見た際にはこれを思い出して、定規を当ててみてください。